転校した俺

徹平サイドです。シリアスです(嘘)

_____1_____

「徹平、おかーさん、お父さんと離婚するから」
「は???  ぅえええええええええぉおいい!?!?!」
「…ごめんね…」

俺、高山徹平。小4。
聞いてくれよ、みんな!
俺のとーちゃん会社クビになった!! そっからの離婚!
なんか親戚とか近所の噂によると、つまり女に入れ込んで会社の金使ったらしい…。
アホだww

「うぉおーーーんっ!!!! ごむぇえええん…みんなぁ…」
「…」

とーちゃんは、俺の目の前で、何回も泣きながら土下座してる。な…なさけねーーー…
ねーちゃんが異様に怒り狂ってた!
不潔ッ!! 触らないでッ!! とか言ってる…でもねーちゃんも男と男が裸でなんか色々してる本?
とかなんか持ってただろ…あれもなんか変だぞ…

…俺はもういーや。ってカンジ。こんだけ謝ってるし…まぁ許してやろうかな…。
んで俺は転校することとなった。結局、俺はかーさんに引き取られ、
とーちゃんは遠方で再就職先を見つけた。2ヶ月に1回面会することになった。
ぶっちゃけ、別に半年に1回くらいでいいんだけど…汗

「徹平!!あんたは…あんたこそは…あんたこそは…ぜーーーたい、あーなっちゃ駄目よ!!」
「…平気だよ。ねーちゃん。俺はモテモテだから!!!」
「知ってるわ…悔しいほどにね…」
「だろ? つまり俺に入れ込む女がいたとしても、俺が入れ込む女ってのはないッ」

そう付け加えると、満更でもない顔で俺の頭を撫でる。
単純な奴!

…俺はねーちゃんの方がよっぽど心配だよ!
学校の新任のセンセイに告白して振られてみたり、前髪がくねくねしてる変な男とばっかり付き合って別れては、
この世の終わりみたいに馬鹿みたいに号泣して…

アホ認定されてる俺から心配されるってよっぽどだぞ!笑
俺も学校中からも親戚中からも、もうアホ姉弟って言われたくねーよ笑

引っ越しの5日前。
少しずつ、ダンボールに荷造りを開始する。
新しい家はとーさんの部屋分が狭くなったし、しかもボロくもなった。かーさんもこれからはパートに出るし、
これからは俺も家事とかキチンもやらないとなー…

「ねー、かーさん。転校先の学校って、バスケ部あるかな?」
「あら?別にサッカー部か野球部があればいいじゃない! それならどこにもあるでしょ」

とーさんが高校球児だったから、俺は3歳くらいからおもちゃのバッドを振ってて、キャッチボールとかしてた。
普通に野球も得意だった。でも別にそれはとーちゃんの趣味って感じで、5歳くらいにW杯みて俺はそれ以降、地元のスポ少とかで、サッカーをずっとやっていたんだ。リフティングだって100回以上出来るぜ!
この間も5、6年に混じって、試合に出て、得点を決めた! サッカー大好きだ!

でも半年前の体育のバスケの出来事。とある出来事だった。

「徹平はさすがにバスケは、下手くそだな」

コイツは男子から嫌われまくっている、バスケ部のいけすかねーー野郎である『前田登』!
去年、この学校に転校して来て、
今年初めて同じクラスになったけど、やっぱ生意気だ!

俺のへたっぴのドリブルを華麗に抜いて、シュートを決め、女子から歓声を挙げられた後、
振り返りざまに俺にそう言った。

…俺、バカにされた…。こんなの初めてだ…。
俺は一瞬にして、頭に血が昇って、登の背中に飛び膝蹴りを喰らわせた後、啖呵切った。

「ふざけんな!! 俺に出来ねーーーもんはねーーーんだッ!! 今に見てろよッ!! アホッ バカッ!! 死ねっ」
涙目になって、そう啖呵を切ったのが半年前。それくらい鮮やかに負けたんだ…。

俺は、誰にも負けたくなかった!!
それ以降、休み時間はずっーーーーと体育館でバスケをしていた。


俺は登を見返して、屈服させる為に、空き時間を見つけては練習を続けた!!

まぁ…さすがにサッカー部やめて、バスケ部に転部…までは出来なかったけどなー。
でも正直、そうしてもいいくらい、俺はバスケにのめり込んだ。

何故なら、ストーカーのように登が、俺の練習中のプレイを直後に、真似るからだ…
俺がレイアップシュートの練習中。俺が失敗すると、その直後にこれがお手本だ…と言わんばかりに、
それをして見事に決める。
俺が、ジャンプシュートを外すと、その2秒後に、ジャンプシュートを決める。
完全に執着してきていた…こんなやつ初めてだ。
けど俺も逃げずに登に立ち向かった!悔しいじゃんっ!!

かーさんは転校先の学校への手続き書類をまとめていた。

「ちがうのーーーかーさん!! 俺はバスケ部に入りたいのーーーーッ」
「うーーーん、あるといいわねぇ…あるとは思うけど」

さすがにサッカー部の連中には悪くて、エースストライカーが、転部…なんて言い出せなかったけど、
『転校』ってことなら、タイミング的にちょうどいいんじゃね?今ならバスケもド素人って感じじゃないし。
休み時間だけでドリブルもシュートも結構上手くなったしな。楽しいな…けっこうバスケも。
ま…競う相手がいると一層な…。目標があると違うぜ…

でも…

…ぶっちゃけ登はクラスの男子から相当嫌われていた。女子にしか人気がなかった。
無口、キザ、ギャグセンス0。
泳げない、喋れない、野球ド下手、サッカーは珍プレイ続出、ドッチボールも意外に全然出来ない。

そのくせに、いつも態度は落ち着いていて、自信満々。しかも人のことをお世辞でも一切褒めたりしない。
けど女子から、かなーーーりモテる。そりゃ嫌われるだろ。アホ。

コイツは…まぁ…俺の次くらいには男前かな。ストイックだし、それを表すような太い眉毛で…
まぁ女子は好きかもな。




次の日。
休み時間、登と1on1をやる。2ヶ月前くらいから休み時間はずっと毎日、
俺は登とフリースロー競争だの1on1をやっていた。俺も急激に上達したけど…
登も毎月のようにドリブルのキレもスピードも上がっていて…なかなか登には勝てなかった…。
ストイックなんだよな。コイツ。割に硬派。

そう、女子にキャーキャー言われてるけどコイツ硬派なんだよ。
ま、でもキャーキャー言われてても、別に全然調子乗ってないし。
つまり女子にも男子にも興味ないって感じだよな。まーそこがね。尚更嫌われる要因っていうかね。
とにかく…そんなバスケ馬鹿の…ストイックな男を負かすってのは…きつい…無理…。
それくらい登はセンスがあった。く…

それでも今日…
よーーーやく、鮮やかに登を出し抜いて、念願の先取初ゴールを決めた。さすが…俺w

「はぁ…はぁ…はぁ…どーよ?のぼるぅ?」
「ちくしょ…調子のんなよ?徹平…」
「はぁ…はぁ…どーだ?俺、結構上手くなっただろ?うーーん?ww」
「ま、俺ほどじゃないし」
「ふざけんなw そこは上手になったね!! でいいんだよッw」
「…だって…もっと上手くなれるからな。徹平は」

登の野郎は、キザに無表情にそう言い放った。でも口元が少しだけ笑っていやがった。
コイツも笑うんだな。

この辺の運動できる野郎はだいたい、地元の野球チームか、スポーツ少年団のサッカーチームに所属してたけど、
コイツは、電車で一人隣町に行って、バスケのスポ少に通っていた。俺だけは君らと違うんだぜ?みたいな?

それで体育のバスケの時にだけ大活躍。女子が黄色い大歓声。正直、俺もコイツの事嫌いだった。
と言っても、俺の場合、他の奴らと全然理由は違っててさ。別に俺、モテるしね。そーじゃなくてさ…

なんつーか…登は…不器用すぎてイライラする…んだ…よね。話し合いとかしてても、
なんつーかそれ言う?みたいな事言っちゃうし。でもな…それって正論だったんだ。いつも。
まぁ俺は空気読んで、言ってなかったけど 。けど中には俺も正直そう思ってたってこととか結構あった。

俺が、場の空気を変えて、まぁあえて笑いの方向に持ってってフォローしたれwって言うところでも、
登は馬鹿正直に思ったことを口にしてまたダメにしちまうんだ。コイツはそういう男。正直やりずれー。
だから嫌いだった。俺は根っからのお調子者キャラだしな…。

なにより、他の奴らが登になんか嫌がらせしよーぜ!! とか言うと、俺は非常ーーーーに心が痛んだ。
俺の『鶴』の一言でそういうの止まるけど。
でも…不器用かなんか知らねーけど…もっと上手くやれよッ





…4日後には引っ越し、転校だ。休み時間。
いけすかねーバスケ男の登が一人でトイレに行こうとしてる。
ウンコかな? よし、ションベンだな。よし。よし。
俺は背後から近づき、登の隣の便器に陣取った。

「んーー…なんだよ…俺になんか用か?」
「…」
「…もしかして、バスケに目覚めた?…俺に弟子入りしたい?」
「…」
「あ、わかった、俺の通ってるスポ少に、見学しに来たい!!これだろ? 休み時間の練習だけじゃ足りなくなったか!」
「…」
「何黙ってんだよ…徹平はそういうキャラじゃないだろ…いつもみたいにアホっぽく、とっとと喋れよ」
「登…俺はお前が心配だよ…色々と…。」
「え??何が?」

登は用を足し終わって、キョトンとした顔をしてる。なんで心配されるの?俺、て顔をしてる。
コイツって嫌われてる自覚ないんだよなー。
いつも一人なのに。いつもクラスの中心にいる俺とは大違い…。
俺も用を足し終わって、登と向かい合った。
転校することをまず最初に言わないといけないのは、まずコイツだった。

俺は登を正面から抱きしめた。言葉じゃダメだ。俺的に。

「俺、今週末、◯◯県に転校するけど、絶対バスケ部はいるから」
「…え?」
「登、好きだよ」
「…」

俺は涙をこらえた。もっとこの学校にいて、1on1とかしたかった…。

せめて…もう少しだけ…
登と仲良くなって…
もっと色々知り合いたかった。コイツのこと。
俺のことだって、もっと知ってほしい…。悔しい…転校したくねぇ…でも泣かないぞ…。

「…汚い手で抱きつくなよ…お前手洗ってないだろ…」
「…もーーそうだけどぉ…登…、お前ってやつは…w」

登は思ったこと、すーーーぐ口に出す。雰囲気ぶち壊し…w ま、今のは俺が悪いんだけどさw
笑いながら、登から離れた…
すると登は泣いていた。驚いた。ぇええ コイツにも感情あるのォオオ??

「なーーんだよ…せっかく徹平がバスケやりまくってて…
 これを機会にちょっと仲良くなれるかも…って思ってたのによー…」
「…泣くなよ…登…」
「…泣いてないから、ぐすっ」

あれ?っと思ったけど、やっぱ泣いてるw 涙がもう出てる。アホだなーーー。何嘘ついてんだよ… 
俺もつられて泣いた。そんで…泣きながら、登を慰めた。

「大丈夫、大丈夫…登より上手くなって、お前に勝利するまでは、俺バスケ続けるから」
「…そんなの無理じゃん…。俺を誰だと思ってんだよ…w じゃあお前は一生バスケットするしかないよ」
「いや、俺天才だから! 2年後くらいには追いついて、追い去ってる!w」
「なに頭撫でてんだよ! お前手洗ってないだろwww」

よかった。登がようやく笑った。

_____2_____

俺は教室に戻り、とりあえずその辺にいる野郎どもの集団に、転校のことを伝えた。
すぐに色んな質問責めに合い、適当にはぐらかした。

10秒後にクラス中が…んでその日のうちに学年中に俺の転校の話が広まった。
駆け込み需要のように告白してくる女子が何人かいて、俺はそいつらの頭をよしよしと撫でた。

そして登校最終日…。金曜日。
担任が、俺のために、ホームルームを切り上げて…送別会を開いてくれた。
そのあとの…サッカー部でも俺は部員全員からの寄せ書きの式紙をもらった…。
それで6年生のキャプテンが俺の頭をガシガシ撫でてくれて…そっからなんか俺は、もみクチャにされて
いろんな人から触れてまくった!!w

「おいおいーーー!! 俺は珍獣じゃねーーーからwww」
「徹平…元気でやれよ…」

…俺の為に何人かが泣いてくれた。うーーーそういう事すんなよ…好きで離れるんじゃないんだから…
離れ難くなるじゃん…。…くそう…。
俺も少しだけ涙目になった。

帰り道。俺は登のことを思い出していた。

登は…あの後、ずっと…送別会の時も、ずっとツンーーーとしていた。いつも通りっていうか。
何も気にしてない様子だった。送別会とか、どうでもいいからとっとと、スポ少に行きたいんだけど…
みたいなテンションだったw

俺はすごく嬉しかった。なんか…言ってたこと伝わったなーーって。
俺は登の頭を心の中で撫でた。追いついてやるから、お前も先進めよw













10月。週明け月曜日。
季節外れの転校生ってことで、俺は隣の県の田舎の市町村のとある小学校に引っ越してきた。
初日、校長室に案内される。

「高山の徹平くん…ふうん…」
「ハイっ! 俺、高山の徹平ですッw」
「なんだね…君、◯◯市のサッカー大会、3、4年生の部で優秀選手賞じゃないかね!!」
「あー…まーええ…」
「なんでぇ??うち別にサッカー部のあるのよぉ?」
「もう俺、バスケ部に入るって決めてるんでっ」
「ふうむ…まぁうーん…うち最近バスケも強いからさぁ…いいんだけどさぁ…。ふうむ…」

そして担任の先生に連れられ、教室に。
あーーーwww これww よく漫画とかドラマにあるやつだww
テンション上がるww 転校たのしーーーーwww

「◯◯県から来ました、高山徹平です。野球は少し。サッカーは4年間、やってました!
 よろしくお願いしまーす」

男子は「ふーーーん?」みたいな顔してらw
女子は…あーーー、これ目を逸らしてるあの子とか…あの子とか! もう俺に惚れてんなw

「はい、じゃあ、みんな仲良くしてね!じゃあ徹平くん、あそこの席に」
「はーい」

俺は窓際から2列目の後ろ側の席につく。あーいい位置だな。これ。って隣、男かよ!

「彰二くん、教科書見せてあげてね」
「あーどうも、すいません…よろし…」

隣の席の男は、ちょっと、やっかいそうに俺のことを見つめる。
そんで俺の方に教科書を差し出す。くっだらねー妖怪の落書きがいっぱい描いてある。アホだwこいつw
って…そういうことじゃなくて…あれ?

なんで登ここにいるの?

「…何見てんの?」
「…名前…なんだっけ…君…」
「彰二…」
「しょうじ…」

別人…だよな…でもなんで同じ顔なの。そっくりすぎ…。

「なんなん?キモいんだけど…」
「え…あ…」

見過ぎた…でも見足りねーよ…。ダメだ。混乱する。

_____3_____

休み時間。
俺は質問ぜめに合う。リポーターかよ。お前らww
なんで転校して来たの?どこに住んでるの?サッカーはうまいの?彼女いるの?ete…

彰二?は俺のこと、めんどくそーーーに俺を見てる。
なんだよ!! この『登もどき』!!

「徹平…だっけ」
「えええーーーはいはい、おれ徹平!!」

『登もどき』!はしかめっつらで俺を見る…
おい見過ぎて悪かったけど!! そんな怖い顔はしないでよッ!!俺は転校初日!!

「俺、徹平…みたことある…な…。」
「彰二?はもしかしてサッカー部…?」
「…そうだけど?」
「やっぱり!!」
「俺は、けっこう色んな大会の3、4年生の部とか、高学年の部とか、けっこう出てて試合の選手名簿で
 写真も撮られてたりしてたからそれじゃね?俺ら◯◯県の小学生と練習試合とか結構してたし!」
「…思い出した…多分、それだわ…」

「んだろぉ!! ん?あれ?じゃあ俺はなんで彰二?を見たことがないのぉ?」
「…俺はレギュラー入りもベンチ入りもしてない…写真撮られたことさえねーよ…」
「あーーーごめん…そっか…へへっへ。へへへ…」
「おれ、この転校生、嫌いだわ…」
「いやいや…登もどき…仲良くしようぜ?な?へっっへ」
「いや、誰、『登』って…うざ…。」


放課後。
長い1日が終わった。皆ランドセルに教科書をしまい込んでる。
別に大変じゃなかったけど、まぁけっこう色々あったしw
主にコイツw 彰二?のせいで! こんなそっくりさんって初めて会った…。
とりあえず、事情聴取によると、生き別れた双子でもイトコでもハトコでもないらしい。
まーつか。よく見ると…細部、結構、違うけどね。

こっちの方が全然田舎の小学校…ってのはさておき。
まぁ彰二は、とにかく都会顔だな。登の都会Ver ってとこか。

都会顔で、こいつの方が、洗練された雰囲気がある…知的っていうか。あ、顔だけね。中身アホよ?
教科書にあんだけ落書きしてるのでわかる。中身はアホ。

登は、野性味があって…ちょっと狼っぽい。群れたりしないし。顔も表情も、媚びたりする感じなくて、
嫌われ顔。愛嬌がないというか。眉毛も太いしワイルドだな。

うん。見分けついてよかった。いつか2人を合わせてみよう! あ…でもドッペルゲンガーって合わせると
2人とも死ぬんだっけ?

さて…。冗談はさておき…。

コイツらはやっぱ別だな。と決定的に思うのは、性格…。

彰二は…ぶっちゃけ俺には何故ーーか、つれないけど、ハッキリいって…。女子にも愛想いいし、
男子にもめっちゃ好かれてる。ぶっちゃけお前は気づいてないだろうけど…お前クラスの中心に…いるだろ…。
転校生の隣って…お前それ…

「席替えっていつあった?」
「昨日。いきなりな…」
「やっぱし…。ごめんな…」
「ま、いいよ。」
「やっぱし?…そうなの?」
「うん。転校生の隣になってくれーーーー…って言われてる。」

ふう…。ま、登はそういう役回りは一生回ってこないよ。
やっぱ顔しか似とらんね。うむうむ。

「んで?徹平どーすんの?」
「へ?」
「今から部活動だけど。」

なんと、この学校は月曜日に部活動なのか。へー!!
俺、金曜日にしたばっかなのに! やっほう!


うーん。
とりあえず、バスケ部を見に行こうかしら?
あーでもバスケ部は入部決定だし、サッカー部見てみようかな。うん。
その方が熟考して決めた感が出て、周りの大人も納得だろ。うんうん。

「彰二!! サッカー部行こ!」
「なんだよ、サッカー部入るの?」
「決めてないよ」
「ふーーーーん…」
「なんだよ?サッカー部入っちゃダメなの?あ、入って欲しいの?」
「別にどっちでもいい。好きにすれば?」
「あーーなんだよ! そこは一緒にサッカーやろうぜ!だろ普通!! 
…あ!入って欲しくないんだろ! レギュラー枠ますます減るから」

あ、コイツ顔つき変わった!

「なんだよ、なんだし! エラそーに!! 徹平はそんなに上手いのかよ!!」

あー対抗意識燃やすあたりは、うん、ちょっと登に似てる。

「上手いよ!! 小学校入ってからはサッカーしかしてねー!! じゃあサッカー部行こう!」
「おう!! 来いよ!! 下手だったら大笑いしてやるからっ!」


_____4_____

けっこう田舎って思っていたけど…
ぶっちゃけ前の小学校と生徒数まったく変わんねーな…。

ここの地域は林業とか文化遺産とかが盛んで、緑が多くて森、雑木林、小川があちこちある感じ。
けど、集合住宅とか密集地にはしっかりベッドタウンがあって、景色は田舎だったけど、人口は結構な密度だった。
ちょっとしたマンモス校…いやそこまでじゃねーか。でもグラウンド計3つ…って…田舎www

俺は体験入部って形で、参加した。
メニューは転校生もいるし、4年生は今日は練習試合って感じだった。

正直、6、5年でレギュラーとベンチが埋まる。4年生は上手い奴が数名、そこに入れたり…
みたいなことが多いから、とにかく監督的にも序列をハッキリつけたいんだろうな。

第2グラウンドで、4年生だけで2つのチームつくって練習試合になった。
よーーーし。4年生は一列に並べ!

「徹平! 俺の隣に来いよ」
「えーーなんだよ」
「1、2、1、2、1、2」

あ…そういうことね。

俺「1」
彰二「2」

別チームになってまで、俺の実力見たいのね!はいはい。

浩介「転校生、どこやる?どこでもいいよ」

能面みたいな顔だな…うん。浩介ていうのね。あーーでも俺バスケ部入るから、
そっちで脳内メモリ使いたいかも。いいや、『能面』で。

「トップ下、入っていい?ダメか。」
「ほーー。いいぜ。全然」

俺はミッドフィルダーで参加することとなった。彰二は…DFか。うん。まぁいいか。
試合のホイッスルが鳴る…。前半は普通に様子見しよ…。

…正直。元の学校のレベルより…けっこう下…くらいのレベルだった。
彰二…ごめんね…
おれ…そろそろ本気出すよ。

彰二が、通さないぜ…!!みたいな顔で俺を睨む。
けど俺は御構い無しに、4年間で身につけたトラップで、
普通に彰二をドリブルでさくっと抜いた。

もう誰もいなかった。あとキーパーだけか。
あー彰二だけで止められるって思ってたんだ。いいDF選手なんだね。このチームで彰二は。

開始、11分、俺は先取点をあげた。試合は4−1。俺は2得点を直接いれた。
他の2得点も俺のパスが有効に働いた。いぇーーい!!

試合終了と同時に、メンバーが俺に握手する!!
「よろしくな!! 徹平!歓迎するよ! 」
「あーごめん!みんな! 俺、他も見て決めたいんで!」
「えーーーー!!!なんだよそれぇ!!!!」

コーチが俺の元にやってきて、書類を渡す。
「たまにいるんだよな…君みたいに、いろいろ…何できる男の子。」
「…あー、でも、したことないのは出来ません…フィギュアスケートとか」

みんなが一斉に笑う! 
うーーん…この辺スケートリンクはないからなぁ…wとか言ってる。

彰二が恨めしそーーーーに俺の顔を見ている…
あーー俺もその顔、前に、登にしたわ…なつかし…
にしても、けっこう、コイツもクールな顔に見えて…。
顔に思ってること出るタイプだなぁw

面白い…
可愛い…

!?!?
いやいや…何言ってんだww
コイツ『登もどき』だぞ!!ww何言ってんだ俺w

うーん…でもいつかは『登』にこういう顔させてみてーーな…あと何年掛かるかな…
まったくまったくその顔が想像できない…。
高校卒業までには…うーーーん…。

_____5_____


帰り道。

なんと…
俺は彰二と帰り道が全く一緒だった。というか普通に近所だった!
なんなの…これ…おれ…こういう顔の男に『縁』がある運命なの?
これは…先生の指示…なわけないか。

「なんだよーーー…徹平…はぁーーー」
「え…何が」
「…俺さ、兄貴が1人いるんだけど」
「へぇ?」
「…いや、ごめん…お前に愚痴ってもね…」
「…落ち込むなって! 彰二!!」
「落ち込んでねーよ!! ふん。つか呼び方『登もどき』じゃなくていいの?」
「もう…俺は…お前と…彰二と…友達になるって決めたから…そういう呼び方はもうしない…」
「…ふん、あっそ」

ちょっと照れ臭そうな顔をした。やべ…意外と可愛いとこあるな…コイツ。

「彰二…それで?さっき何か言いかけたよね…?オイラに話してごらん?」
「…俺、兄貴と比べられるのがイヤで…サッカー部入ったんだ…」
「…」
「…誰にもいうなよ…ひみつだかんな…」

彰二は割と思いつめたような表情だった。恥ずかしい…ことを告白したんだな。
いや、別に言わねーけど。
うーん。そんな優秀な兄貴がいるのか?
俺は珍獣みたいな恋愛バカな姉しかいないからよくわからん…。

「…徹平、リフティング、何回できる?」
「100回くらいはヨユー…」
「やっぱな…」

あれ?もしかして彰二出来ないの?
彰二は顔を逸らした。そして、すごーーーーく悔しそうな声で…言った。

「ね、…飽きてる時間でいいから、俺にサッカーお、教えてよ…」
「…彰二…。」

俺は…。
なんかコイツっていいな…。そう思った。さっきまであんなに戦意剥き出しだった相手に
教えを請うって…同じ男だからわかるけど…。そう、いい気分じゃねーーーんだ…。
いったん、絶望っていうか…。まぁそういうのあるし。

でも…それを乗り越えて…コイツはそれをしてきた。
それは登とは違ったタイプだけど…。
…まぁ人にこうやって聞ける…ってのは…伸びる…と思う。

「とりあえず…さ」

俺は今日の試合で思ったこと、全て話した。彰二の癖、彰二の今の技能、いろいろ。
ちょっと言いにくいこともあったけど…全部いった。センスのこと…とか
反射神経とか動体視力のこととか…。

聞きたくねーこととか、耳を塞ぎたいようなとこもあったんじゃねーかな。
出会ってまだ1日目の野郎に色々いわれたくないだろ。本当は。
でも彰二は、まじめで、わからない専門用語とか話を中断した。その都度、俺に聞いた。
理解すると真剣な顔で頷いて、次を促した。

彰二…本気なのね。OK。
俺はバスケに夢中になるだろうから…できる範囲は限られるけどさ…。

俺の学んだ…こと、俺に伝えられることでよければ…
その全部…お前にやるよ…。彰二…。

_____6_____

新生活から4週間。もう11月だ。
9月頃には…2ヶ月後にこんな生活をしてるだなんて…想像してなかっただろ。
ふーーー。ま。いいか。

俺は、担任と彰二のおかげで、アホみたいに高速でこのクラスと新生活に慣れた。
うまく馴染めるかとか、そんな心配はしてなかったけどな。
ま…でも俺も人の子だからさ…。ほら…少しはね。

俺は毎日登下校を一緒にしていた。朝。彰二の家まで迎えに行く。
こいつんちは、旅館を経営してる。けっこうなお坊ちゃんだった。
空き地にプレハブ小屋建ててもらって来年からそこに自分の部屋があるんだってさ。
いーーなーーー!!

「徹平!!」
「ん?」
「見てろ!」

ぽん、ぽん、ぽん…
あーーーーー…落とした。

「やった!! 新記録だ!!67回!!」

彰二はリフティングが30回が限界だったのに俺のアドバイスで回数を2倍に伸ばした。
うーん。俺のアドバイスが良かったのかな…。コイツも練習したのかな?

担任が学校に馴染めるように!!とかいって、毎週、違う部活に仮入部させてくれた。
それをいいことに、俺はバレー部、テニス部、吹奏楽部を体験した!

バレー部は動体視力がいいからか、けっこう活躍できたし、
テニスもルールが横文字ばっかで、アレだったけど楽しかった!

ぶっちゃけ野球部は…父さんのこと思い出しちゃうし…。辞めた。
あとバスケ部は?って聞かれたけど、俺の心がすでに決まってる…ていうのは、
かーさんと登位しか知らないから敢えて誰にも言わなかった。

けど、さすがにもう先週の部活で仮入部最後…ってことだった。
それで先週は、あえて100パーセント入らない部活に入ったw

もう一生こういう機会なければ、やらないだろうしねw

そんで俺はフルートっていう横笛を体験した。部長さんが一見さんお断りって顔をしている…
くそ…難しい…楽器にしやがったな!!バカにしやがって!!
FU---FUーーーくそ…吹けねぇ!! なんだし!!これ!!

「…ちくしょう。無理!! あれ、やりたんですけど」

俺は金ピカ系の楽器を指差す。多分…あの…アレならできる。
なんか、かわいいし。

「ほほほ…この子…ホルンをやりたいそうよ」
「まぁ…おてんばさんね ほほほ…」

この拡声器みたいな楽器なら、多分出やすいだろ。
ん?ん

「ふーーーーーーーー!!!ぶおーーー」

出た!! 音が出た!!はーーーはーーーーはーーーやった!!勝った!!

「さ…この指使いよ。ドレミファソラシド…」

え?ボタン?三つじゃん…
ていうか…え?

まじ…

「ぶお!!」
「ぶお!!」

「ほほほ…」
「この子…必死ね…」

無理…。7音なんて出るか!!! あほ!!!!!!!!!!!

俺の文化部体験記。完。

彰二は隣で俺の話を笑って聞いている。

「まーー、お前の噂って、かなりすごいことになってるし、もう吹部もね…いい迷惑だよねww」
「ふん…もうどこ入ってもニュースなんだろwどうせ」

でも俺は彰二には本当のことを全部喋っていた。
登のこと…もうバスケ部に心を決めきっていること…そして
…俺の家のこと…。

彰二は黙って俺の話を聞いてくれた。別に俺は、くよくよ悩みたくないし、
悩んでも仕方ないし、悩むような内容でもないし、
誰にも話すこともない…って決めてたんだけどね。つい。

転校で一番辛かったのは…仲良くなりかけてたアイツと別れることだったけど…
転校もなければ、俺は彰二と出会えてなかった訳で…
塞翁が馬…っていうのかな…。こういうの。最初は顔がそっくりだったから、
◯◯県の登…って位に登の代わりとして見てた。
実はそれくらい…登との別れの悲しみに代償…があったけど…。

でも、もうコイツはコイツって感じがする。俺のかわいい友達の彰二くん。登とは別!!

「んで?入部届、書いた?」
「それはどうでもよくてさ…彰二…」
「わかってる…そろそろ言って来る頃かと思ってた。」

俺は、彰二の兄貴が所属しているとかいうスポ少に入る…と決めていた。
月謝が掛かるけど…まぁそれくらいなら…ってことでOKをもらった。

彰二の兄貴が小6だった年…小学校の全国大会に出場した…そうだ。
もうここしかない。登に勝つためには!!

「…じゃ明日、俺の家、来いよ」
「おう…よろしくな…あと、ごめんな…」
「うっせーし。」


ま…でも周囲はそれとなく気づいているけどね。彰二が偉大な兄を恐れて、サッカーに行ったこと。
俺が、因縁があって、バスケの門を叩いていること。

本当は…自分でバスケをしてみたい、兄貴に追いつきたい…っていう願望も…まぁなくはないんだろうな。
でも、まぁーーー…ね。ぶっちゃけ彰二ってそこまでセンスがない…。
脚力、瞬発力、判断力、動体視力ete…サッカーだけじゃなく、いろいろね…。

その点、兄貴の方は…まぁ全国大会チームの主将っていうから…ね。
残酷だよ。

本人も気付く頃だ。『10才の壁』とかって、俺の周りの大人が言ってるけど、これのことだろ。
俺たちは来年、11歳になる。壁を乗り越えて…進まないといけないんだ…。

本当は複雑なんだろうなー。兄貴を俺に紹介するの…。



_____7_____

俺は学校で、バスケ部へ入部した。

そして休日、土曜。午前9時。彰二の家に立ち寄った。
彰二の兄の入っている県内最強の強豪スポーツ少年団を案内してもらう為だ。
うーーん。やっぱり広い家だなぁ。
お邪魔しマーース…

「お、おはよ、彰二…」
「お兄ーーー」
「…」
「おい!! お兄! こっちこい!!」
「…」

出た…コイツが全国大会出場したスポ少で主将をしていた彰二の兄貴…!!うわ…なんだよ。こわ…。
兄貴の千田彬人は、中学1年生。ねむそーに俺のことを見つめる。彰二と顔似てるなーーーー。
でもなんか…貫禄っていうか…普通になんか…こう…。自然と敬語になる感じ…。

正直、彰二じゃなくて…登の兄貴って言われた方が、むしろ納得するかも…。こっちの方が、野性味があって、
血の気が盛ん…な感じするし。

「こ、こんにちは…俺、彰二の友達に最近なった、高山徹平って言います…」
「…知ってる」
「えー…とぉおおお!! この度は、お兄さんの所属していたスポーツ少年団に入りたく…」
「…お前バスケ経験は…?」
「…サッカーを4年しておりました!! はい!!」
「サッカーの事聞いてない…」
「バスケは…ありません」
「…論外。俺の紹介で、入るなら恥かくから、普通に電話番号探して、入れ…。」
「…はい、すいません…。」

なんか…、ここ来た意味ないな…。意気消沈してると彰二が口を開く。

「お兄…それはないだろ」
「あん?」
「普通の…男を…俺がここに連れて来る訳ないだろ…」
「…なに、そいつ。普通じゃないの?」
「普通じゃない。」

彰二…お前…って奴は…。

「どう普通じゃないの?意味わかんねー」
「俺のあった男の中で1番すごい。」
「…」

彰二…彰二…。

「本当にすごいし、サイコーなんだよ!コイツ」
「…」

俺、お前のこと好きかも…

「コイツは、なんつーか…動物っぽくて、会った事ないタイプ!!」
「ほーーー…?」

ん?…それ、褒めてる?w

「俺と、どっちが、すごいの?」
「…そこまでは知らねーーーよっ!!」

あーーはい。そこは『俺』って言ってくれないのねw だよねーーw

「ふーーーーん。へーーーー。ほーーー。」

彰二の兄貴は俺をジロジロみてる…。こわ…なんか俺…こういうタイプ…初めて会うわ…。
あーでも、こういう明るくもないけど、クールでもないし、根暗っぽくもないタイプって
たまにいるんだよな…
暗くて無表情で、けど喋る内容は明るい…みたいなよくわかんないタイプ。

「じゃあ、俺がコイツの事がっかり、見込違い!! って思ったら、彰二…お前のこと殴っていい?」
「…いいよ」

え…なんだ…ええええええええええ なにその契約!!!!!!しかも「いいよ」?
なに即答してんの彰二ぃいいいいい!!
それ!! プレッシャーだけどぉおおおおお!!つーか男兄弟 怖!!

「徹平…がんばれ…」
「おい…彰二…お前、何を言っちゃってんのよ…」
「しょーがねーだろ…俺を初日でボコボコにしたんだから」
「…」
「ガン…バレよっ」

そういって俺に体にかるく拳でパンチした。彰二はもう吹っ切れた様子だった。
彰二の兄貴は、居間にある電話で、どっかに通話しだした。

「あ、塩山カントク?俺。俺っす。千田っす。」
「…そーーーす。うん、うん、よく知んないっすんけどね。わかんないっす。すごい奴って本人は言ってます。」
「はい、はい、うんうん、はい元気っす。もー平気っす。なんとか。はい。」
「OKす、じゃあカントクも元気で。はい。」

ガチャ。なんか、無表情過ぎだ…こわい…。

「…明日、とりあえず8時に◯◯体育館…。見学こい…だって。」
「…あ、はい」
「その後、双方合意で入団手続き…だってさ…。」
「お礼は?」
「…あ、ありがとーーーございましたっ!!!!!!!!!!」
「ふぁーーー…もっかいねよ…」

そういって彰二の兄貴は、2階に姿を消した。彰二の兄貴は午後から部活動らしい。

「彰二…お前そんな兄貴に殴られてんの?…」
「うーんw どうだろ…たまーにな。」
「俺…見込違いなら、お前殴られちゃうの?」
「あー、それは気にすんなよ、手加減してくれると思うし」
「うわーーー!! もうヤダッ!! こわい!! 男兄弟ってw」
「お前が…まぁ兄貴の期待を裏切るくらいの奴だって思ってないから言ったし」
「…彰二。俺、頑張る。」
「うん! がんばれ」

俺は明日、小学生のバスケ全国大会出場チームへ、見学しに行く。
登のチームでも県内優勝はできなかったはずだ。俺は自然と気合いが入っていた。
俺が見込違いなら、彰二じゃなく、そのまま俺本人のこと殴ればいいのに。
でもこの兄弟のルールだと、何故かそうじゃないらしい。なんか…そういう自分の発言には、責任を持つ…って
いう信頼関係があるのかもしれないな。じゃあ俺も彰二の期待を裏切る訳にはいかない。

「さて、この後どーする?、サッカーの練習しに行く?」
「うーん、えとさ、徹平は、今どれくらい、お前バスケできるの??」
「全然だよ」
「じゃあちょっと練習していく?」
「おお!! 悪りぃな!!」

そして俺らは、彰二の家のハーフバスケコートに向かった。

_____8_____

彰二は、久々にやるなーーバスケ…と、感慨深そうにしてボールを見繕った。感慨深そう、っていっても、
普通に元気そうだ。全然、深刻な様子はない。俺たちは結構、仲良くなったし、弱みも打ち明け合ったし。
ってかそれより…

「ねぇ…彰二、あ、あ、あのよぅ」
「ん?なんだし」

俺は、聞いていいのかどうなのか…とかなり迷った。俺はアホアホ言われるけど、
けっこうその辺気にする男なんだぜ…?

「聞いていいのかなぁ」
「は?何?聞いて」

俺は、最初、彰二兄をみた時、見間違いかと思った。遠目だったし。
でも…そうじゃない。さっき最接近した時、…これ…殴打の怪我だ…ってわかった。

「…お兄ちゃんの…あの顔の傷…なに?」
「…ああ、あれか。あれでも結構治った方なんだぜ?」

話に聞くと、全国大会に出場したチームの主将をやっていた、小学6年生が中1になって入学してくる…
つーことで、彰二の兄貴は、入学早々…体育館ウラで『シメ』られたらしい…。

それでも最初は、まだまだ身長も足りず…とのことだったが、それを上回るセンスでこの秋、遂に2年生を差し抜き、
レギュラー入りを果たし…そして先月…またコテンパンに『ボコ』られたらしい…。

「にーちゃん、どういう性格よ…?」
「愛想悪いよ。笑い取ったりする性格ではまずない。」
「うーん…そんなかんじ。カッコいいけど。」
「同級生とは仲良くやってんだぜ?でも先輩相手には、どうもダメらしい」

俺は登のことを思い出していた。アイツと彰二は顔はそっくり。だから、登と彰二兄もそれなりに…といっても、
ほんのり顔が似てる。だめだ…バスケやる気分じゃない…。登もまだ小学生だからいいけど、アイツも不器用だから
中学に上がったら、ぜったいそうなる…。
俺はうずくまって、しゃがみこんだ。

「あのなーーーーww 徹平は性格明るいしww 大丈夫だってww 兄貴、ホラ不器用だしww」
「………」
「しかも、兄貴は、県大会優勝しちゃったから、嫉妬されてるんだってww
 徹平がそれくらい、活躍してから、そういう心配しろよーーー!!」

「…登」
「…?」

「登の話…しただろ…アイツが殴られるかも…っていう心配。」
「あーーー。それか。」

彰二には、転校初日から「登もどき」呼ばわりしていたから、アイツのことは全部喋っていた。

「うーん。でも気にしすぎじゃん?だって、ソイツも別に、いつも気にしてない様子だったんでしょ?」
「だけどさーーーー…」
「嫌われてることに気づかないくらい鈍感…って奴だろ?ある意味、最強じゃんw」
「うーーーん。まぁ…そーーなぁ?」
「しかも、お前に目付けられてるくらい…できる男なんだから、それくらい…ま、仕方ない…、
 いや、別にそうじゃねーけど…あーーーー上手く言えねぇ!!! くそ!!」

そういって、彰二はバスケットボールをゴールに放った。シュートは…
お世辞にも惜しいと言えない箇所に当たり、バウンドして、遠くへ跳ねた。

「…ごほ」
「お前…笑うのこらえてるだろ…」
「…(※こらえてる)」

「アホっ!!!!!ww 徹平のドアホ!!!!(涙目)」
「あーーーーーははははははwwww」

彰二は、一発、肩パンチでも喰らわそうと俺を追いかけ回した。俺は笑いながら、とりあえず逃げたw
バスケも全然俺の方が出来るかもしれない。


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